抜かない矯正

大人の矯正治療においても、できるだけ歯を抜かない治療を第一に考えます。
その時に、大人でも顎の幅を広げることによってそれが可能になることもあります。

その際に、使用する装置として、子供でも使う「拡大床」と、クワドへリックス・バイへリックスと呼ばれる固定式の拡大装置があります。

どちらを選択するかは、その人のライフスタイルによって変わります。

拡大床
メリット
１．食事時には取り外せるので、食べにくさがない。
２．歯磨き時にも取り外せるので、お口の中の清掃はし易い。
３．装置自体が洗浄できるので、常に綺麗に使用できる。
デメリット
１．1日17時間以上の使用で効果があるので、逆に外している時間が長ければ長いほど拡大効果は少ない。その為治療期間の延長に繋がる。
２．取り外しが可能なので、紛失したり壊したりする可能性がある。

固定式拡大装置
メリット
１．固定式なので食事の時などわざわざ外さなくても良い。
２．24時間常に装着されているので治療期間通りに進む。
デメリット
１．常に装着されているので、食べ難い。
２．常に装着されているので、きちんと歯磨きをしないと虫歯や歯肉炎には罹り易い。

以上のメリット・デメリットを比較した上で、ご自身にとってメリットの大きい方を選択してもらい治療に当たります。

このように矯正治療は一つの方法しか治せない訳ではありません。
皆様それぞれのライフスタイルに合わせた治療を行っております。

ご自身の歯ならびやかみ合わせが気になる方はまずはお気軽にご相談ください。

そういう理由もあり、「矯正治療をすると、必ず抜歯をしないといけない!」と考えてしまって治療を躊躇ってしまう患者さんは少なくありません。

しかし、全ての方が必ず抜かないといけないのかと言うと、そうではありません。
我々、矯正医はまずは歯を抜かないで治療できるかを考えます。

大人の方でも歯を抜かないでも十分な治療結果が得られることはよくあります。

最初のお口の中の状態です。上下、特に下の歯の歯ならびがガタガタしています。
この場合は、歯を抜かなくても治療は可能なんです。

こちらが治療後です。最初の時と比べると、その違いがわかっていただけると思います。

このように、大人の方でも歯を抜かずに治療することは可能です。

個人差がありますので、お悩みの方は、お近くの矯正専門医までご相談ください。

これは初診時の質問でよくある話です。

「歯科矯正＝抜歯」とイメージされている所為か、「矯正すると健康な歯を抜かれる」と多くの患者さんはお考えのようです。

ただ、我々は矯正医である前に、「歯科医師」です。歯科医師は、虫歯や歯周病を予防し歯を残す職業です。職業的に歯を抜くことは最終手段なのです。

もちろん、第一選択は歯を抜かない治療法を目指しています。

お口の中の状況を見て、長年の経験で「抜く、抜かない」は判断出来ますので、「抜いた方が良い。」とはお話していますが、これは抜いた方が機能的に正しいかみ合わせが得られると判断されるからです。

大事な患者様の歯を抜くと診断する訳ですから、我々もその決断を下すからには真剣に治療に当たっています。

抜く・抜かない、それぞれの治療法にメリット・デメリットはありますので、よくご相談させていただいて、最終判断は患者様のご意向に沿わせていただいております。